貴方の見ているドメインは
このページについて
喜作はふりかへつた。そこへ房一も登りついた。三人は瞬間顔を見合せた。そこに、房一は自分よりは二つ三つ若い、だが禅坊主のやうな頭骨をした精悍な表情の神原喜作を見た。
房一は刃物で突く恰好をしてみせた。
第四章
「あれだね、君は見かけによらない――親思ひなんだね!」
別に会ふ気がなかつたから、と云ふ代りに、
房一の魚籠びくをのぞいて、盛子はびつくりしたやうに叫んだ。
「なに?」
「お粗末ではござりまするが、どうぞごゆるりと」
「きさまか、鬼倉ちふのは」
「なにぶん山の中でございますから、折々にこんなことがございます。」
今度は、徳次も完全にびつくりしてしまつた。彼のきよろりとした眼には、どこか少し先きで火事があると聞いた時のやうに、何だか落ちつかない、興昧ありげな色が浮んでいた。
「なに、訴訟?」